■■■ これだけは知っておこう ●2005年度やましろ医療生協ニュース掲載 |
高齢者の食事援助
●献立の工夫
@年齢・性別・生活習慣・嗜好・食物アレルギー等を考慮して献立を立てる。
A栄養のかたよりをさけ、バランスよく食品を組み合わせる。
B迷信や流言飛語にまどわされず、正しい知識を得、献立に役立てる。
●調理の工夫
@特別に作る必要は無く、食べる人の咀嚼力、嚥下能力、消化吸収能力に合わせ、おろす、ミキサーにかける、細かくきざむ、かくし包丁を入れる、ゼリー・プリン状にかためる、かたくり粉でとろみをつけるなど工夫する。
A味付けは塩味・しょうゆ味・みそ味・酸味・甘みなどで変化をつけ、食欲をたかめる。また、特に制限のない場合は献立全体を薄味にするのではなくてある一品に塩や砂糖の味を効かせ、味の強弱でものたりなさを補うのも一つの工夫である。
B木の芽・青ジソ・ゆず・生姜・山椒・ミョウガ・三つ葉などを使用し、季節の香りを楽しませる。
●食事介助の方法
@食卓で坐位がとれる場合は、できるだけ家族と一緒に食事の場がもてるようにする。車椅子の場合は、アームに取り付ける専用のテーブルを利用することもできる。ベッド上の場合は、上半身を上げて、オーバーテーブルを使用する。
A食物は舌の中央に置き、本人のペースですすめる。
B口腔内に食物が残っていないことを確認してか次ぎのものをすすめる。
Cむせるときは介助を中止する。また口腔内に食物が残っているようであれば窒息予防のためにかきだす。
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高齢者の排泄援助その1
●ポータブルトイレ
自分でトイレまで行けなくなったお年寄りの場合でも、すぐにオムツや尿器を使うのではなく、工夫をしてトイレで排泄するということは、お年寄りの精神面を考えればとても大切なことです。
段差解消やトイレを改造することで居室内を車椅子で移動してトイレを使用できるようにすることが理想的だといえるでしょう。しかし、家屋によってはそれが難しいこともあります。また、介護者の負担も考慮する必要もあるでしょう。そこで、居室にポータブルトイレ(持ち運べるトイレ)を置くことでトイレの代用にすることができます。
ポータブルトイレにはさまざまなタイプがあります。比較的安価なもの、移動に便利さや安全性を考慮したもの、室内に置いたときに違和感のない家具調のもの、保温便座や脱臭・洗浄機能付きのものなどさまざまです。一般的には、ベッドと同じ高さに調整が可能で安定感があるものがよいでしょう。背もたれがありもたれることができたり肘掛けなどにつかまることができるもの等お年寄りの身体状況に応じて最も適したポータブルトイレを選ばれるといいでしょう。
※一般的なタイプ
多くのご家庭で使用されています。価格も他の物に比べると安価です。
高さ調節も可能で安定感もあり重量も軽く持ち運びに便利です。
※家具調タイプ
使用時にシートを上げるので、普段は木製の椅子として使用できます。高さ調節も可能です。重量があり、倒れにくく安定性に優れています。
※洗浄機能・脱臭機能つきタイプ
温水洗浄や保温便座、脱臭機能がついています。側面に設置されたパネルを押すだけの簡単な操作で行えます。(しかし、お年寄りによっては使いにくいこともあります)肛門周囲膿瘍は肛門部の歯状線に開口するクリプトから細菌が侵入し、肛門腺に感染を起こし膿瘍となったもので、痔瘻の前状態にあたります。(図1…瘻の形態と名称参照)。この膿瘍を原発膿瘍といい、膿瘍が直腸内に向かって瘻管を作り開口したところを原発口といいます。また反対方向に瘻管を作りお尻の皮膚の方に開口したところを二次口といいます。原発口と二次口をもつ膿瘍を痔瘻といい、この状態になると手術治療は必要となります。
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高齢者の排泄援助その2
●寝たきりの方で...
トイレやポータブルトイレが使えない場合は尿器や便器を使用する方法もあります。尿器や便器にはそれぞれ特徴があり、便器は排便に使うだけでなく、女性の場合は尿器で排尿がうまくできないときにも使用します。
●尿器には...
男性用と女性用があります。素材はガラス製とプラスチック製の物がありますが、安価で破損しにくいプラスチック製の物が多く使われています。便器にもゴム製の物とプラスチック製の物がありいくつか種類があります。しかし、使用するために腰を上げてもらわないといけなかったり使い方によっては、かえって体や寝具、衣服を汚してしまうこともあるので、オムツを代用に使う事が増えています。
利用される方の身体状況に合わせた物を使用されることをおすすめします。オムツの使用はご本人にとって自尊心が傷つけられたりショックだったりするので介護者の言動には十分注意が必要かと思います。
●おむつ交換...
まずはじめに仰向けの状態でマジックテープを外します。次に体を横に向けオムツの片側をくるくる巻いておしりの下に敷き込みます。新しいオムツの反対の片側もくるくると巻いておき古いオムツの下に敷き込みます。体の向きを巻き込んだオムツの山を乗り越えるように向きを変えます。巻き込んだ古いオムツを外し、次に新しいオムツを引き出します。最後に仰向けの状態でテープを留めます。
オムツを使用している場合には、一日一回は陰部を洗うようにされるといいでしょう。台所用洗剤などの空容器の洗剤成分を十分洗い流し、その容器にぬるま湯を入れ陰部を洗い流します。石鹸をつけて洗った時は、石鹸をしっかり洗い流すように注意して下さい。ぬるま湯で洗いながすだけでも清潔が保て、皮膚のトラブルが軽減します。
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食中毒
●食中毒とは
有毒有害な微生物や化学物質を含む飲食物を食べた結果生ずる健康障害です。多くは急性の胃腸障害(おう吐、腹痛、下痢などの症状)をおこします。
●食中毒の病因物質として
サルモネラ(豚肉、鶏肉、卵)、腸炎ビブリオ(魚介類)、病原大腸菌(O157)(肉類等多岐にわたる)、黄色ブドウ球菌(おにぎり)、カンピロバクター(鶏肉)、ボツリヌス菌などの細菌、小型球形ウイルス(ノロウイルス)(二枚貝)などのウイルスがあり、潜伏期間は数時間から数日間と種類によってかなり幅広くなっています。
●家庭でできる食中毒予防の六つのポイント
@食品の購入...新鮮な物を、消費期限などを確認し、購入。
A家庭での保存...詰めすぎに注意し、冷蔵庫は十度C以下、冷凍庫は、マイナス十五度C以下に維持。
B下準備...包丁やまな板は、肉用、魚用、野菜用と別々に。
C調理...中心部の温度が七十五度Cで一分間以上加熱。
D食事...すぐ食べましょう。
E残った食品...時間が過ぎたら思い切って捨てましょう。
食中毒は簡単な予防方法をきちんと守れば予防できます。以上のような事に気をつけて元気に夏を乗り切りましょう。●寝たきりの方で...
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熱中症
●熱中症とは…
熱中症とは熱が原因で起こる病気です。地球温暖化、都会のヒートアイランド現象、労働環境・生活環境とも関連があります。
●熱で...
熱で体内の水分や塩分が急速に失われることによって体温維持の機能が狂い、次第に全身の機能不全を起こします。めまい、頭痛、吐き気などから、重傷になると、けいれん、意識障害、体温上昇などで死亡する場合もあります。
●これからの季節...
これからの季節、熱中症にならないようにみんなで注意しましょう。外に出るときは帽子や日傘を使いましょう。レジャーの時などは無理をせず余裕を持った行動計画をたてましょう。汗をかいたときは水分、塩分をこまめに補給しましょう。
また屋内でも、最近の建物は密閉構造になっていますので温度が上がりやすく、クーラーを上手に使い部屋の温度を下げ、湿度も調節する事が大切です。
●万一、熱中症に...
万一、熱中症になってしまったら、涼しい所に寝かせて、可能なら水分を補給し、早めに医療機関を受診しましょう。熱中症に気をつけて元気に夏を乗り切りましょう。
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夏バテ
●夏バテは…
冷房がきいた部屋と室外との気温差がはげしいなど、暑さや湿気の急激な変化に体のリズムがついていけず、自律神経の働きが鈍くなることから起こるとされていますが、はっきりとした病気というのではありません。
●症状としては…
全身がだるい、思考力が鈍る、食欲がない、夏カゼをひく、下痢などです。また時には、頭痛、発熱、めまいといった症状を伴うこともあります。
●予防・回復には…
バランスのとれた食生活で体力をつける事が大切です。冷たいものばかり飲むとお腹を冷やし、また消化液も薄まるため消化が悪くなり、夏バテを促進します。たんぱく質やビタミン、ミネラルを中心に、良質なものをたとえ少量でも食べるようにします。さらに食欲を刺激するために、香辛料を使ったり、香りの強い野菜を摂取するのも有効です。
●極度な温度差は…
体に負担がかかるので、冷房の温度は下げすぎない、寒い室内では温かい飲み物やひざ掛け、カーディガンを利用するなどの工夫も必要です。ただしあまりに暑い時はクーラーや扇風機を上手に使って快適に過ごすようにしましょう。
●夏バテを予防する効果的な食材…
あずき、ウナギ、えだ豆、おくら、ししとうがらし、しょうが、とうがらし、とうがん、豆腐、パイナップル、豚肉、みょうが、もやし、やまのいも などがあります。
●体の不調が続く時は…
単なる夏バテと決めつけず、医師にかかる事も大切です。
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運動
●糖尿病、高脂血症、高血圧などは…
脳卒中や心筋梗塞といった動脈硬化性疾患の原因として重要な位置を占めています。内臓脂肪の蓄積やインスリン抵抗性が病態の根本で、メタボリックシンドロームという言葉で最近、話題になっています。
●適度な運動が…
メタボリックシンドロームの予防に最も重要です。運動は善玉コレステロールを増やし、インスリン抵抗性を改善し(すなわち薬の効きが良くなるということです)たとえ体重が減らなくても、体質改善という効果は必ずあります。
●あきらめず…
気長に続けることが大切です。ポイントは@軽く汗ばむ程度の運動を(心臓の筋肉は脂肪を好んで燃やします)A一日三十分以上、週三回以上(二十分以上続けて運動しないと脂肪が燃えてきません)です。
●内容ですが…
早足で歩くのを基本に皆さんで長くできる運動を工夫しましょう。下半身の筋肉は人間の体の三分の二を占めると言われています。これから涼しくなり体を動かすのにちょうどよい季節になってきます。気軽に始めましょう。
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健診の意義とフォローについて運動
●健診(検診)の意義は…
症状が出ないうちに病気をつかまえる事にあります。癌だけでなく、多くの病気で早期発見、早期治療が大事です。高血圧、糖尿病、高脂血症などの慢性疾患は自覚症状がない事の方が多いです。検査をやってみないと病気がどの程度進んでいるのかわからないのです。普段医療機関にかかったことのない人は健診を上手に使って自分の体の点検をしましょう。ただ、健診で何でもわかるわけではありません。偽陰性といって見逃しなどもありえます。日々刻々と変化しているのが人間の体です。毎年定期的に健診を受けることが必要です。
健診さえ受けておけば良い、と言うのではなく、健診は健康の事を考えるひとつのきっかけとして使って欲しいと思います。そして健診で異常を指摘されたときは、怖がらず、面倒くさがらず、すぐに医療機関に相談しましょう。なんでも気軽に相談してください。
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インフルエンザ
インフルエンザは冬、12月から3月に流行のピークを迎えます。これは原因であるインフルエンザウィルスが低温と乾燥を好むからです。
ウィルスにはAとBの2種類があり、Aはさらに2種類位が現在流行中です。ウィルスは感染力が強く、2〜7日の潜伏期間で発症します。突然の高熱、関節痛などの全身症状が強いのが特徴です。乳幼児や高齢者では重症化に注意が必要です。
診断には迅速診断キットがありますが、症状や周囲の流行状況等を考慮して行います。A、Bの区別もできる診断キットは鼻粘膜を擦って採った検体で15分位で結果がでます。インフルエンザと診断されたら、抗インフルエンザ薬や対症療法薬を使います。解熱剤の中にはインフルエンザの時に使うと危険なものがありますので注意が必要です。
ワクチンは予防と重症化の阻止に有効ですが、睡眠や栄養をきちんと取って病気にかかりにくい体を作る事が最も有効な予防策です。
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鳥インフルエンザ
A型インフルエンザウィルスには百種類をこえる型があります。鳥はすべての型のウィルスを保有していますが通常は症状を引き起こしません。
色々な型のそれぞれも小さい変異をくり返しており、H5N1など致死率の高い強い病原性を持つようになったウィルスによって引き起こされる病気が高病原性鳥インフルエンザです。
1997年頃から人への感染と死亡症例が東南アジア等で報告されています。ただ現在の状況は、鳥から人への感染が海外で確認されているという段階です。人から人へ移るという事になれば新型インフルエンザの出現と言う事になります。
現在インフルエンザに有効であるタミフルという薬は鳥インフルエンザにも有効と考えられていますが、病気に対抗する基本は栄養と休養を十分摂って病気に負けない体を作ることです。マスコミの過剰な報道に惑わされる事無く健康的な生活を心掛けましょう。
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花粉症
花粉に対するアレルギー反応によって、くしゃみ、鼻水、鼻づまりや目のかゆみといった症状が出るのが花粉症です。
日本で一番多いスギ花粉症は二〜四月頃に症状が出ます。スギだけでなく色んな花粉に対してアレルギー反応を起こす人もいます。
花粉症への対処は予防と初期治療が大切です。予防はまず花粉を避けることです。現在ではテレビ等でも花粉情報が提供されており大いに参考になります。外出時はマスクやゴーグル等で鼻や目に花粉が侵入するのを防ぎます。また帰宅時に服や髪についた花粉を良く払って花粉を室内に持ち込まないようにするのも大切です。
薬物療法はアレルギーを予防する薬、症状をおさえる薬などを使います。新しい抗ヒスタミン薬は眠気がおきにくいと言われています。早めに医療機関に相談しましょう。
また夜更かし等不規則な生活は症状を悪化させます。普段の生活から気をつけましょう。
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メタボリックシンドロームについて
糖代謝異常(糖尿病)、高血圧、脂質代謝異常などが一個人に集積する状態が、動脈硬化性疾患(脳硬塞、脳出血、心筋梗塞)の大きな原因になっている事は以前から知られていました。これらの異常は偶然合併したのではなくて、上流にインスリン抵抗性、さらに上流に内臓脂肪蓄積があることがわかってきました。
メタボリックシンドロームの診断基準は、
@内臓脂肪蓄積・ウエスト周囲径(男85cm、女90cm)以上を必須項目に、
A中性脂肪150以上またはHDLコレステロール40未満
B上の血圧130以上または下の血圧85以上
C空腹時血糖110
以上のA、B、Cの内2項目以上、となっています。
各々の異常は軽度でも重なると心筋梗塞や脳卒中を起こす危険性が高まります。メタボリックシンドロームの管理の目標は心筋梗塞や脳卒中を起こさない事です。そのためには内臓脂肪を減らす、そのためには運動と食事療法が重要です。体重を5%減らすだけで効果がある事が解っています。運動は少しきつい位の有酸素運動を30分以上続けて行う事をお勧めします。
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