やましろ健康医療生協

健康あれこれ

 これだけは知っておこう 2006年度やましろ医療生協ニュース掲載

笑いと健康について

 「笑う門には福来たる」と言います。笑いには二つの効用があります。まず、笑う事によって健康がもたらされます。吉本興業の舞台を見た後で血液検査をしたところ、免疫を司るNK細胞の数が増えていた、というのは有名な話です。その他にも大笑いした後では血糖値の上昇が軽度だったという報告もあります。笑いが体に良いということが科学的に実証されたわけです。
 二つ目は笑いは人間関係を円滑にしてくれると言う事です。赤ちゃんの微笑みは周囲を幸せな気持ちにしてくれます。病院でも患者さんと医療スタッフが良好な関係でともに治療にあたれるよう笑いが必要だと考えられています。海外の病院では小児病棟にクリニクラウン(病院の道化師、という意味)をおいている所が多いそうです。病気の時にも笑う事を忘れないということは意味のあることだと思います。
 笑う、ということは結構エネルギーを使う事で、顔の筋肉や腹筋をかなり動かします。笑える、というだけで実はすでに健康なのだと言えるかもしれません。私も診察室で難しい顔をせずいつもにこにこしたいものだと思っていますがまだまだ修行不足です。また、医療を取り巻く現実はとても笑っていられるようなものではありません。しかし、だからこそ皆さんと一緒に明るい地域を作っていきたいと思っています。

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便秘 その1

 便が固くなって回数が減り、腹部膨満感や吐き気等の症状を伴うとき、便秘症と呼びます。便の回数は個人差がありますが概ね3日に1回から1日3回までが正常範囲です。
 食べ物が口から入ってお尻から便となって出てくるまでは多くの過程があり、便秘の原因も様々です。口で良く噛んで胃で良く消化し、小腸で栄養を吸収、大腸で水分を吸収、というのが良い便を製造する過程です。
 原因としてまず食べ物があります。繊維質は消化吸収されず便の量を増やします。繊維質の少ない食事が続くと便秘になりやすくなります。また適度な水分補給も良い便のためには必要です。
 次に消化管の運動です。消化管の筋肉は自分の意志では動かせません。寝不足やストレスなどで自律神経のバランスが狂うと便秘になりやすくなります。
 最後に消化管の器質的異常によって腸の通りが悪くなる場合です。癌が無いかを調べる事が大切です。
 これらの事をふまえて、便秘にならないようにするにはどうしたら良いか、便秘になった時はどうするか、次回で考える事にします。

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便秘 その2

 便秘の予防についてです。便秘になりにくい食習慣、生活習慣が大切です。睡眠をよくとって規則正しい生活をしましょう。胃や腸は寝ている間に一番良く働きます。睡眠が不足すると便秘がちになります。
 次に食事です。前回御紹介したとおり、繊維質の多い食物(野菜や海藻類、きのこなど)や水分を十分に取る事が大切です。1日3回腹8分目に、よく噛んで食べましょう。
 次に便秘になった時の薬物療法についてです。便秘ののみ薬は便の水分を増やして出しやすくする薬(商品名カマグやマグミットなど)と腸を動かして便を出す薬(商品名センノサイドやシンラックなど)があります。また座薬もあります。これは直腸の中で膨らんで便を出しやすくします。あとは浣腸もあります。これらの薬はその人の便秘の状況にあわせて医療機関と相談して使いましょう。
 最後に、いろいろやっても便秘が良くならない時や急に状況が変わった場合などは、大腸癌などの大変な病気が隠れていないかどうか、きちんと検査をすることが大切です。これから夏になり、お腹の調子が狂いやすい時です。以上の事に気を付けてください。
 次に消化管の運動です。消化管の筋肉は自分の意志では動かせません。寝不足やストレスなどで自律神経のバランスが狂うと便秘になりやすくなります。
 最後に消化管の器質的異常によって腸の通りが悪くなる場合です。癌が無いかを調べる事が大切です。
 これらの事をふまえて、便秘にならないようにするにはどうしたら良いか、便秘になった時はどうするか、次回で考える事にします。

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脱水

 人間にとって水はとても大切です。口から入った水分は、尿や汗、便、呼気等から体の外に出ます。腎臓、皮膚、自律神経等がうまく働いて、体の水分を一定に保っているのです。
 このバランスが崩れ、体に水が足りなくなった状態が脱水です。これから汗をかきやすい季節になり、体の働きが弱くなったお年寄りや体の小さい子どもでは脱水を起こしやすくなります。
 脱水になると、全身倦怠、吐き気、めまいなど様々な症状が出、ひどくなると意識障害といった深刻な事態にもなりかねません。
 脱水の治療、予防とも水分の補給という事になるわけですが、水の補給にも注意が必要です。まず、少しずつゆっくり補給することです。大量の水分は心臓にとって負担になり、冷たい水を一度に飲むと、胃腸に負担がかかります。また糖分の入った飲み物は余計に喉が乾き、血糖値の急上昇を招き危険です。
 夏の屋外で汗をたくさんかいた時は、水分とともに塩分も補給する事が必要です。大事なことは、何事も程々を心掛ける事です。
 これからの季節、外へ出る時は暑さ対策を十分にして、適切な水分補給を心掛けて下さい。

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転倒について その1

 年をとる事により、体力の低下、反応の時間の遅れ、視力の低下などの様々な機能の低下が生じ、転び易くなります。現在ではこういったあたりまえのことについても要因と対策について科学的な研究がされてきています。
 第一には、心理的な側面からのアプローチがあります。「転ぶかもしれない」という恐怖感をどうすれば克服できるか?
 第二には、身体的な要因について。複数の病気のために、多種類のお薬を服用しなければならない点も注意が必要です。
 第三には物理的な要因。生活環境に対する対策。同居する人たちとともに考えなければなりません。
 どうすれば筋力の低下を少なくし歩き続けられるか?歩くことが困難な人でも安全に生活できる方法があると思われます。

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転倒について その2

 転倒恐怖感+身体的疾患+環境要因→外出をひかえる→歩行の減少→筋力の低下→転倒し易くなるといった図式があることを前回述べました。
 たとえ歩けなくなった人でも、筋力の低下の進行をすこしでもゆるやかにできればよいと思われます。自信がつくと恐怖感は減少します。
●筋力の低下を防ぐには?
@ 歩ける人・体力に自信のある人 
 (目安のひとつとして 5mをできるだけ早く歩くのに75〜80歳男性で2.1秒〜4.1秒、女性で2.6秒〜5.1秒)

油断禁物です。有酸素運動やストレッチ体操を毎日行なってください。 
A 歩行に不安のある人
バランス保持の運動が必要(座位でもよい)。

 手足の運動、リズム運動、音楽にあわせて体を動かす。例えば「ふまねっと」運動 50p×50pの升目をなるべくふまずに歩く。「フリフリグッパー体操」腰をふりながら腕を開いたり閉じたりする。(座位でもできます。)

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ピロリ菌のはなし その1

●慢性胃炎は「加齢現象」ではありまぜん
 ヘリコバクター・ピロリ(以下 ピロリ菌)は、多くの上部消化管疾患に関与しています。世界のおよそ半数以上の人々が感染し、わが国では約6千万人の感染者がいます。
 ピロリ菌がおこす根本的な障害は胃炎です。日常私たちが使う「胃炎」という言葉とは異なり、「組織学的活動性胃炎」という病理学的な胃炎です。そしてこの胃炎が長い間続くと、胃の粘膜には次第に萎縮や腸上皮化生という変化を起こしてきます。この状態を慢性萎縮性胃炎といいます。長い間、この慢性萎縮性胃炎は「加齢現象」であると考えられてきました。ところがピロリ菌の発見によってこれは病理現象であるとことがはっきりしたのです。
 ピロリ菌でおこった慢性胃炎が存在すると、この疾患として、萎縮性胃炎、消化性潰瘍、胃癌、MALT−リンパ腫などがあげられている。
●潰瘍の方は一度は除菌すべきです
 潰瘍の方は長年にわたって薬を飲み続けていらっしゃる方がおおいですね。薬を止めると潰瘍がすぐ再発するからです。しかしピロリ菌を除菌すると薬をほとんど飲まなくても潰瘍はほとんど再発しなくなります。ですからもしあなたが今もなお潰瘍の薬を飲み続けているとしたら、すぐにでもピロリ菌を除菌すべきです。

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ピロリ菌のはなし その2

●ピロリ菌と胃癌との深い関係
 最近、胃癌の死亡率は近年低下しており、死亡率でみると肺癌がトップになっています。しかし罹患率でみますと、相変わらず胃癌が肺癌の2倍ぐらい多いのです。胃癌の方が早期発見、早期治療されていること、また肺癌に比べて治りやすいことなどの証左とも思われますが、胃癌が日本人に最も多い癌でありことには違いありません。近年日本人の医師によってピロリ菌感染と胃癌との密接な関係が世界で初めて臨床レベルで証明されました。ピロリ菌感染者のうちの年間の胃癌発生率は約0.5%で、10年間にはピロリ菌感染者の5%に胃癌が発生します。逆にピロリ菌に感染していない人には胃癌が非常にまれです。胃癌の発生には多数の因子が関与していると考えられていますが、ピロリ菌が胃癌の発生に深く関わっていることは間違いありません。潰瘍はないけれどもピロリ菌がいて除菌しようかどうか迷っていらっしゃる方も多いと思いますが、今多くの消化器医がピロリ菌の除菌と胃癌予防の可能性について臨床研究に取り組んでいます。
●ピロリ菌除菌によってMALT−リンパ腫が治る
 胃にできる腫瘍のなかには、MALT−リンパ腫というものがあります。この疾患の多くはピロリ菌を除菌すると消失してしまうことが知られています。

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ピロリ菌のはなし その3

●どんな検査でピロリ菌がわかるのか
 内視鏡を使う検査では、組織鏡検、培養法、13C尿素呼気テスト、尿中抗体、便中抗体などの方法があります。ピロリ菌の除菌の前にはどの方法で検査されてもあまり大きな差はありません。
 しかし除菌後には呼気テストとともに必ず内視鏡を使って組織鏡検、培養法を実施していただくようお願いしています。潰瘍や癌を見落とさないために重要であることと、もし除菌が失敗したと判明した場合、培養法で感受性試験で次の除菌法を決定できるからです。
 呼気テストの注意点としては、潰瘍治療に使う薬剤の一部や抗生物質などを検査の前の四週間以内に服用していると、ピロリ菌の除菌が失敗しているのに除菌成功と判定する場合があります。(偽陰性といいます)反対に、よくうがいしてから検査しないと偽陽性になることもあります。又胃の手術を受けた方などもうまく判定できません。
●実際の除菌治療は簡単です
 3種類の薬を1週間飲む方法で、除菌率はおよそ80%前後ですが最近ピロリ菌の耐性化で除菌率が減少しています。なお緑茶やある種のヨーグルト、ココアなどがピロリ菌に有効ではと話題になっていますが今のところこれらで完全な除菌はできません。

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健康診断

 健康診断には、自治体が行う基本健診や各種癌健診、企業が行う事業所健診などがあります。
 血液検査では糖尿病、高脂血症、肝障害、腎障害、貧血などの有無を調べます。癌健診は対象とする病気によっていろんな検査方法がなされます。
 ただ健診は症状のない健康な人に行うものなので安全で簡便にできるものでなくてはなりません。例えば大腸がん検診は便潜血二回法で行います。ひっかかったら必ず精密検査を受ける事が必要です。
 また癌があっても検査で異常がでない事もあります。自覚症状があるときは健診でなくきちんと診察を受けて検査計画をたてることが大切です。
 またたとえ健診で異常がみられなくても毎年健診を受けて自分の正常値を知っておく事が大切です。そして病気になる前に生活習慣に気をつけて予防できれば最善です。
 検査結果に一喜一憂するのではなく、健診を、自分の健康に気をつけるきっかけとして有意義に活用しましょう。

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漢方薬 その1

 漢方薬も民間薬も、薬草を煎じて作ることが多いので、混同されやすいのですが、今回は、その違いについて少しお話します。
 漢方薬とは、数種類(多いものは数十種類)の生薬(天然物に、少しの加工を施しただけの薬剤)を、決められた比率で組み合わせたもので、数千年の歴史の中で、最も効果があり、副作用の少ない組み合わせが、現代に伝えられています。
 一部の例外はありますが、通常、単一の生薬で使用することはありません。また、症状だけでなく、個人個人の体質もみて、処方を決定しますが、体質をみる診察方法も、長い歴史の中で培われました。
 一方、民間薬は、通常、一種類の生薬のみを用い、「下痢止めにゲンノショウコ」などのように、症状のみをみて使用する点で、漢方薬と異なります。
 余談ですが、漢方医学では、現在でも数千年前に書かれた書物が、大切に読み継がれています。有名な葛根湯も、約2千年前に書かれた「傷寒論」という本の中に記載されています。一方、日進月歩の著しい西洋医学では、10年前の本ではもう情報が古くなっており、使い物にならないことも少なくありません。

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漢方薬 その2(漢方薬の適応)

 漢方薬は、ほとんど全ての疾患に用いることが出来ますが、西洋医学的治療を優先すべき疾患と、漢方を優先してよい疾患があります。早期ガンのように、西洋医学の治療のみで完全に治癒する可能性の高い疾患を、漢方薬だけで治療するのは問題だと思います。
 一方、進行ガンのように、西洋医学だけでは根治の難しい疾患に、漢方を併用しないのも問題だと思います。西洋医学と漢方の両方を、上手に組み合わせて治療を進めるのが、最も患者さんの利益になるのではないでしょうか?
 漢方を積極的に利用したい病態の例として、西洋医学の検査では原因のはっきりしない病態や、西洋薬が副作用等のため使用しにくい場合、西洋医学のみでは十分な治療効果を得るのが難しい病気などがあります。
 具体的には、不定愁訴(つらい症状があるのに、西洋医学的な諸検査では、異常が見られない状態)、悪性腫瘍(主に進行ガンでの、術後の体力回復、抗癌剤の副作用の軽減、転移の予防、QOLの改善等)、リウマチ等の自己免疫性疾患、アトピー性皮膚炎、更年期障害、変形性膝関節症、花粉症などです。また、風邪やインフルエンザのような、ウイルス性の疾患にも有効です。

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