やましろ健康医療生協

健康あれこれ

 これだけは知っておこう 2007年度やましろ医療生協ニュース掲載

漢方薬 その3(漢方薬の副作用)

 現在の日本では、医学教育は西洋医学主体で、漢方の教育は充分ではありません。そのため、充分な漢方の知識のないまま医師となり、西洋医学の考えに基づいて、漢方薬を処方することが少なくありません。いわゆる病名漢方(風邪に葛根湯など、西洋医学の病名で漢方薬を処方すること)です。
 しかし、漢方薬は東洋医学の薬なので、東洋医学の考えに基づいて処方しなければ、効果が乏しいだけでなく、副作用もでてきます。以前、肝硬変等の肝臓病に小柴胡湯が頻用され、間質性肺炎等の重大な副作用が問題になったことがありましたが、この原因の大部分は病名漢方だと考えられます。現在も、防風通聖散(ナイシトールという名前で販売されていることもあります)という方剤が、「やせ薬」として有名になってきましたが、この方剤も、証(漢方医学の病名)の合わない方が内服すれば、間質性肺炎や肝機能障害等の、重大な副作用が出現する可能性があり危惧されています。
 他にも、黄?の含まれる方剤では間質性肺炎や肝機能障害など、甘草の含有量が多い方剤では浮腫や血圧上昇など、地黄の含まれる方剤では胃もたれや食欲不振など、附子の含まれる方剤では口唇のしびれや動悸などの副作用があります。

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漢方薬 その4

 西洋薬、漢方薬を問わず薬には相性があり、併用することでより高い効果が得られたり、逆に、お互いの効果を弱めあったり、副作用が出やすくなったりします。
 以前に、漢方薬には多くの生薬が配合されていると書きましたが、この配合割合は実に巧みに決められており、ほんの少しの配合割合の違いや生薬の組み合わせの違いで、全く効能の異なる別の方剤になることがあります。
 例えば、桂枝湯(主に風邪の初期に用いられる)と桂枝加芍薬湯(主に腹痛に用いられる)では、配合されている生薬の種類は全く同じで、芍薬という生薬の量だけが異なります。つまり、風邪をひいてお腹も痛い時に、桂枝湯と桂枝加芍薬湯を併用しても、併用の効果は期待できません。
 他にも、構成生薬が非常に似通った方剤はたくさんあり、注意が必要です。
 逆に、作用の極端に異なる方剤の併用、例えば、附子(身体を温める作用が強い)の入っている方剤と、石膏(身体を冷やす力が強い)の入っている方剤を併用すれば、効果が減弱することもあります。
 また、医療用のエキス剤(生薬を煎じた薬液を顆粒等に加工したもの)では、半分以上の方剤に甘草という生薬が配合されていますが、エキス剤を二剤以上併用した時に、含有する甘草の量の合計が6g以上になると、浮腫や血圧上昇等の副作用が出やすくなります。

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健診のおすすめ

 宇治、城陽、久御山の40歳以上の方は、今年も6月から市民健診が受けられます。京都市は一年中受けられます。
 日本人の死因の多くを占める脳卒中や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患の原因となる糖尿病、高血圧、高脂血症(これにさらに肥満が加わるとメタボリックシンドロームと呼ばれる状態です)だけでなく、肝障害や腎障害、貧血なども今の健診でチェックできます。健診でなんでも分かるわけではありませんが病気を早期発見する事は非常に重要です。普段健康な方こそ是非年に一度の健診を受けましょう。
 来年度からは制度が変わり、メタボリックシンドロームに関わる部分の項目しか健診で行わないようになります。これは国が医療への支出を削減する目的で持ち出してきたものです。皆さんの健康を皆さんと一緒になって守っていく運動をこれからも続けていきたいと、やましろ健康医療生協では考えています。

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漢方薬 その5(妊娠中、授乳中、小児について)

 漢方薬は西洋薬と比べると、妊娠中や授乳中にも比較的安全に使用することができますが、薬剤である以上、いくつかの注意点があります。

 まず、妊娠中ですが、駆お血剤(くおけつざい)(大黄、紅花、桃仁、牡丹皮、牛膝等、血液の巡りを良くする生薬が含まれる方剤)は、流早産の危険性がありますので、基本的には服用できません。但し、催奇形性(胎児に奇形を起こす性質)は認められませんので、妊娠に気づかずに服用した場合は、以後の服用を中止すれば妊娠の継続に支障はありません。また、エキス剤では、問題となることは、まずありませんが、附子という生薬の副作用(口唇のしびれや動悸等)が出やすくなります。ただ、より慎重に考えたい場合は、特に器官形成期(妊娠四週〜十二週?)には、いかなる薬剤も使用しない方が無難です。

 授乳中ですが、大黄の含まれる方剤を内服しますと、乳児にひどい下痢が出現することがありますが、それ以外の方剤は、普通に服用できます。

 小児につきましては、特別な注意点はありませんが、証(西洋医学では『診断』にあたる)を考えた時に、附子剤や補腎剤などは、不向きなことが多いです。  小児用量ですが、漢方薬の常用量は、通常、体重五十sを基本に設定されていますので、体重の比率で量を割り出し、それよりも、少し多めに使用します。

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食中毒

●食中毒とは

 有毒有害な微生物や化学物質を含む飲食物を食べた結果生じる健康障害を言います。多くは嘔吐、腹痛、下痢など急性の胃腸障害を起こします。食中毒の病原微生物はたくさんありますが、ノロウイルスなどのように感染力の強い物、病原性大腸菌O―157のように重篤な合併症を起こす物があります。ノロウイルスは患者さんの便や吐物も感染源となりますので患者さんの世話をするのも注意が必要です。また菌が体に入ってから症状が出るまでの期間(潜伏期)も菌によってまちまちであり、医療機関を受診する時は一週間くらい前から思い当たる事がないかよく考えておく事が大事です。

●食中毒予防

 菌を、付けない、増やさない、死滅させる のが原則です。そのために、 

1.調理や食事の前の手洗い

2.冷蔵や冷凍の必要な食品は持ち帰ったらすぐに冷蔵庫、冷凍庫に入れる

3.加熱して調理する食品は十分に加熱する。また、お腹を冷やさないようにする事や、睡眠を十分にとる事も重要です。

以上の事に気をつけて、栄養バランスのとれた食事で夏をのりきりたいものです。

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紫外線からお肌を守りましょう

 残暑厳しく強烈な紫外線が降り注いでいます。紫外線は太陽光線の一 部ですが可視光線よりも波長が短いためエネルギーが高く、いろいろな化学反応を起こします。
 例えば空気中の酸素をオゾンに変えます。オゾンは紫外線を吸収して我々を紫外線から守ってくれますが最近はオゾン層の破壊が心配されています。紫外線の高エネルギーは細胞のDNAを傷つけます。その結果、急性障害としての日焼け、慢性障害としてのシミ、光発癌などを起こします。また目にも影響して白内障の原因となる事もあります。
 紫外線防御ですが、まず屋外に出るときは紫外線を遮断できる服装を心がけましょう。日傘、広いつばが全周にある帽子、長袖、長ズボンを身につけましょう。そして皮膚には日焼け止め(サンスクリーン剤)を塗ります。サンスクリーン剤にはいろいろな種類のものがありますが説明書をよく読んで状況に応じて使い分ける事が必要です。また成分によってアレルギーを起こす事もあります。異常があったら医療機関とよく相談しましょう。紫外線を上手に避けながら外でのレジャーを楽しみましょう。

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噛むことと認知症

〜より良く食べるは より良く生きる〜

 子どもからお年寄りまで食べる=咀嚼することと健康との間に密接な関係があることはよく知られています。

 咀嚼とは、食物を歯で噛み砕き、唾液を混ぜ嚥下に適した食塊を形成する過程を言いますが、最近食の中心になりつつあるファーストフードやジャンクフードなどの柔らかく噛む回数の少ない現代では、江戸時代から約六十年前までのころに比べ一回の食事で噛む回数が四十%になってきています。そのことでの発育障害やさまざまな病気の発現はこれからの人類にとっての大きな研究テーマでもあるのです。

〜噛むことと認知症〜

 時々、歯がなくなったら歯茎で食べればいいや!なんていう方がおられますが、自分の歯がそろっているだけでなく、入れ歯がきっちり機能しているかどうかで認知症の進行度にはっきり差が出てくることがいろいろな調査でもはっきりしています。

 認知症になったから歯が合わなくなるのか、歯が合わないから認知症になるのかはまだはっきりわかっていませんが、認知症を予防する一つの大きな手段として、口腔機能の維持は大きな鍵を握るのではないかと思います。 口腔機能は四十代から五十代に大きく差が出てきます。歯周病の傾向があるかどうかは自覚症状として出てしまってからは、すでに手の施しようが無いことが多いので、若いうちから行きつけの歯科医できっちり検診を受けそれに備えるようにしましょう。

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唾液の効用

●口腔粘膜を潤し、口を滑らかに!
 お口の中には、体の中で最も硬い歯と最もやわらかい粘膜が同居していますが、喋ったり食べたりしても粘膜が傷つかないのは、唾液がお口の中を潤しているからです。


●消化を助ける!
 唾液の中には、消化酵素のアミラーゼが含まれています。アミラーゼは、糖質、デンプンなどを麦芽糖に変え、体内に吸収しやすい状態にする酵素です。噛む回数が多いほど唾液アミラーゼの分泌も多くなり、糖質の消化もよくなります。

●食塊を作る!
 唾液との混和で適当な食塊ができるため、飲み込みやすくなります。

●生体を守る!
人体で外に開いている部分(口・目・鼻など)には、外から侵入してくるバイキンなどを防ぐ役割をしている生体防衛機能が働いています。唾液に含まれるリゾチームがそれです。リゾチームは、唾液だけでなく涙や汗、リンパ腺、鼻粘液、肝臓などの生物体内に広く分布しており、色々な細菌感染から生体を守り、生命維持に欠かせないものです。

●義歯適合への影響
 「義歯が合わない」という高齢の患者さんの訴えをよく聞くことがあります。義歯をお口の中でより良く使用するためには唾液が必須です。ぬれていない義歯は、お口の中で維持できません。

●口の中を洗う!
唾液は口の中を洗い流し清潔に保とうとする力(自浄作用)があります。
すなわち、唾液の多い人はお口の中が汚れにくく、少ない人は汚れやすいという事になります。

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漢方薬

●生体のバランス
 東洋医学では健康とは、それぞれの臓器、機能(五臓六腑)が働くために充分なエネルギーを持った状態であり、病気とは臓器のエネルギーに過不足を来たした状態と考えます。このため、体内のエネルギーのアンバランスを解消すれば、病気は改善すると考えます。

●漢方薬治療の特徴
 漢方薬は現代の薬とはことなり複数の効能を持つ生薬(天然物)を混合したものです。このため、その効果は個々の臓器や症状に対して作用するのではなく、全身の状態に作用するように作られています。
 治療のために漢方薬を選ぶ場合、それぞれの人の病気の原因となった臓器のエネルギーの凹凸を体全体で水平にすることを狙って決めます。そのため、ある症状に特定の漢方薬が選ばれるとは限りません。例えば、薬の効能書きに「便秘の薬」と書かれているものを肩の痛みの治療に使ったりすることもあります。

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経絡を用いた治療

 現代医学では臓器は脳から出る自律神経が直接制御していると考えています。このため臓器は脳とは繋がっていても、それぞれは独立しており、横の連携はないものと考えています。  一方、東洋医学理論の中心となる五臓六腑とは、人体は12個のゾーン(西洋医学の臓器とはことなる)に分割されており、それぞれ個別の機能を司っているのと同時に互いに連携して調和を保っているという考えです。

 これらのゾーンの体表に一番近い部分は線として体の特定の部位に流れており、経絡とよばれています。経絡は十二個存在します。鍼灸で刺激する「つぼ」は概ね経絡上に存在します。鍼灸治療は臓器や症状に対応する「つぼ」を刺激して治療する方法です。東洋医学では健康とは、それぞれの臓器、機能(五臓六腑)が働くために充分なエネルギーを持った状態であり、病気とは臓器のエネルギーに過不足を来たした状態と考えます。このため、体内のエネルギーのアンバランスを解消すれば、病気は改善すると考えます。

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現代の医療と東洋医学

●現代の医療
 現在の医療は特定の臓器の特定の症状を抑えることができる薬をいかにうまく用いて行うかということを中心に組み立てられています。このため薬の開発には大きな力が注がれています。

 強力な作用を持つ新しい薬が出来上がるまでには十年以上の歳月と数兆円の開発費がかかると言われていますが、このような努力をしても、充分な効能の得られる薬は容易にできるものではありません。
●東洋医学の特徴
 東洋医学の特徴は人体にはそれぞれの臓器、機能が連携してバランスをとる機能が備わっているという考えが主体になっています。したがって、病気とはこのバランスに不調を来たした状態と考えます。

 このため、体内のバランスを調整すれば、病気は自然の治癒力で改善すると考えます。特定の症状に抑える作用を持った薬で症状そのものをとろうという西洋医学の考えとは別のものとなります。このため、通常の薬を用いた治療であまり効果が認められない病気に東洋医学が効果的であることもよくあります。

 具体的には漢方薬を用いる方法、鍼灸や経絡を用いる方法などがあります。

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特定健診と特定保健指導 1

 4月から特定健診、特定保健指導が始まります。今まで行われて来た市民健診はなくなり、特定健診は保険者の責任で行われる事になります。

 内蔵肥満と糖尿病、高血圧、高脂血症というメタボリックシンドロームの概念を中心に動脈硬化性疾患を予防するとの事ですが、まず医療費の抑制が第一の目標であり、非常に問題の多い制度です。細かい所はまだ決まっていない事もありますが、概要を説明したいと思います。  対象は40歳以上の方ですが、年齢や保険の種類によって細かい所がちがいます。健診受診者は保険証や保険者から送付された受診券、受診票、基本 チェックリストなどを持参して健診実施機関で健診をうけます。

●健診項目

問診、身体計測(身長、体重、BMI、腹囲)、身体 診察、血圧、血液化学検査(中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール)、肝機能検査(GOT、GPT、γ- GTP)、血糖検査(空腹時血糖、HbA1c)、尿検査(尿糖、尿蛋白) 以上は必須。 貧血検査や心電図検査などは追加検査となります。

 また65歳以上の方はこれに生活機能評価(基本チェックリスト、口腔内視診、唾液嚥下テストなど)が加わります。

 健診結果は実施医療機関から受診者に通知されます。結果によって受診者は指導が必要な人かどうか層別化が行われます。特定保健指導については次回の予定です。

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